観戦・観覧を控えた来場者が最も気にするのが、新国立競技場の座席と見え方です。旧国立競技場の記憶や球技専用スタジアムの感覚で訪れると、座席の階層によって受ける印象が大きく異なります。スタンドは1層(下段)、2層(中段)、3層(上段)の3段構造で設計されており、それぞれ視界の抜け感や死角の生じ方に明確な特徴があります。
まず1層目は、グラウンドと同じ目線で熱気を感じられる一方、スタンドの勾配が約20度と緩めに設計されています。そのため、前列に座高の高い人が座った場合や、陸上トラックの幅を挟むことで「ピッチやステージの反対側が見えづらい」という声が上がりがちです。これに対し、3層目は傾斜が最大約34度と急勾配に作られており、前の人の頭が視界を遮りにくい構造です。ピッチ全体を戦術ボードのように見下ろせる利点がある反面、高所特有の圧迫感や階段の昇降に注意を要します。
座席の快適性で盲点となりやすいのが、新国立競技場の屋根と雨濡れの関係です。スタジアムのすり鉢状の観客席は全席が屋根で覆われているものの、中央のフィールド上空は完全なオープンエアです。そのため、風を伴う荒天時には、1層目の前方(1列目〜15列目付近)まで雨が吹き込みます。「屋根があるから傘もカッパも不要」と油断して訪れた来場者がびしょ濡れになるケースが散見されるため、1層目前方席での観戦時はレインコートの携行が欠かせません。