初期アンパンマンが怖い理由とは?人間のおじさん設定と飢餓の真相

初期アンパンマンが怖い理由とは?人間のおじさん設定と飢餓の真相

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現在広く知れ渡っているアンパンマンのイメージは、1988年に日本テレビ系列で放送が始まったアニメ『それいけ!アンパンマン』によるものが大半を占めています。しかし、半世紀以上前の誕生当時に描かれていた姿は、愛らしさとは対極に位置するダークで哀愁漂うものでした。ネット上で「怖い」と評される最大の要因は、キャラクターの成り立ちそのものが現在のファンタジー設定とは全く異なっていた点にあります。

アンパンマンが初めて活字とイラストで世に出たのは、1969年にPHP研究所が発行していた月刊誌『PHP』に掲載された大人向けの読み切り連載「こどもの絵本」の第6回でした。タイトルは『アンパンマン』。そこに描かれていたのは、丸いパンの顔をしたキャラクターではなく、みすぼらしいマントを羽織り、茶色い飛行服を着た「中年太りの人間のおじさん」だったのです。

当時の設定におけるアンパンマンは、超能力で悪漢をなぎ倒す無敵のヒーローではありませんでした。戦争が続く遠い異国の地へ向かい、空腹に耐えかねて泣き叫ぶ子どもたちのもとへ、懐から取り出した本物のアンパンを手渡して回る孤独な男です。顔立ちもリアルな人間の初老男性であり、飛行機雲を引いて颯爽と飛ぶのではなく、重い腹を抱えてヨレヨレと低空飛行を続けます。最後は、戦場の上空で国境警備隊の高射砲によって敵機と誤認され、撃墜されて露と消えるという極めてシビアな幕切れでした。「人間のおじさん」が戦火に散るという衝撃的な結末こそが、アンパンマン伝説の真の起点なのです。

佐々木 一輝
著者

佐々木 一輝

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。