当時、現場で取材にあたっていたベテラン芸能記者たちの証言を振り返ると、あの騒動がいかに異様な熱気の中にあったかが浮き彫りになります。朝のワイドショーから夕方のニュース、果ては深夜番組に至るまで、テレビ局各社は連日のように羽賀氏の自宅マンション前や梅宮邸に中継車を待機させていました。マイクを向けられた羽賀氏は白い歯を見せてカメラを覗き込み、辰夫氏は車窓を開けて鬼の形相で怒鳴り散らす――。それはメディアが消費し尽くした、平成最大のリアリティショーでもありました。
しかし、ネット上や一部の視聴者の間では、当時から長年にわたり重大な誤解が流布されていました。代表的なものが以下の2点です。
- 誤解1:「梅宮辰夫氏は単なる娘離れができない過保護な父親だった」という見解
当時、一部の世論からは「成人した娘の恋愛に親が首を突っ込みすぎる」「アンナがかわいそうだ」といった辰夫氏批判の声も上がっていました。しかし、その後の歴史が証明した通り、辰夫氏の激怒は過干渉などではなく、娘を破滅的な金銭犯罪と借金地獄から救い出すための正当防衛でした。法的知識を持ち、弁護士を介して契約関係を精査させた辰夫氏の冷徹な危機管理がなければ、アンナ氏は間違いなく連帯保証債務によって破産に追い込まれていました。 - 誤解2:「アンナ氏も羽賀氏のビジネスに加担していた共犯者だった」という見方
写真集の出版や共同会見の印象から、「二人して世間を欺いて荒稼ぎしていたのではないか」という穿った見方も存在しました。しかし実際のアンナ氏は、心理的支配(マインドコントロール)に近い状態に置かれ、羽賀氏の歓心を買うために自身の預金を取り崩し、タレント生命を担保にして借金工面に走らされていた「被害者」の側面が極めて強かったことが明らかになっています。