日本のヤクザ組織と海外マフィアは、どちらも強固なヒエラルキーを持ちますが、組織を結束させる原理には決定的な相違点があります。
日本の組織の根幹にあるのは「擬似血縁関係」です。他人間で取り交わされる「盃事(さかずきごと)」の儀礼を通じて、親分子分、兄弟分の絶対的な上下・連帯関係を人工的に構築します。「親の白といえば黒いものも白」とされる絶対服従の規律は、血のつながりがないからこそ、儀礼的な掟によって強固に縛り付ける仕組みといえます。
これに対し、本流であるシチリア系マフィア(コーサ・ノストラなど)の基盤は「実際の血縁・地縁」です。「ファミリー(Cosca)」と呼ばれる単位は、実際の家族や親族、同郷の人間で中核が固められ、トップである「カポ(ボス)」を頂点とした指揮系統が敷かれます。
また、海外マフィアを象徴するのが「オメルタ(沈黙の掟)」です。組織の秘密を外部に漏らした者は一族もろとも処刑されるという絶対的な掟が存在し、これが捜査機関の介入を阻む分厚い壁となってきました。