世帯視聴率という単一の指標は、ついにその絶対的な権威を失った。いまテレビ局の編成戦略のコアにあるのは、TVerを中心とした見逃し配信の再生回数と、コア層(13〜49歳)の個人視聴率だ。
この変化はタレントの評価基準を根本から覆した。どれだけ幅広い知名度があっても、能動的に「配信で検索して観たい」と思わせられないキャストは起用されない。逆に、SNSでの言及数や再生維持率を跳ね上げる熱狂的なファン層を持つ演者が、キャスティングの最優先リストに名を連ねる。
リアルタイムでテレビの前に座る視聴者層と、スマートフォンで倍速視聴する若い世代。コンテンツの消費スタイルが完全に分断されたことで、メディアプランニングの緻密さはこれまでにないレベルに達している。