食べ放題に挑む消費者が最も気にする「元は取れるのか」という命題に対し、外食産業の原価率構造から切り込んでみよう。一般的に、焼肉食べ放題における肉類の原価率は30%〜40%台半ばに収まるよう設計されているが、部位ごとにその比率は激しく乱高下する。
原価率が極めて高い筆頭格は、名物の「熟成じゅうじゅうカルビ」や「厚切り赤身肉」、そして上位コース限定の「牛タン」「黒毛和牛」だ。これらは単品価格換算で1皿あたり600円〜1,200円相当の価値を持つ。ディナーの大感激コース(約3,800円)で損益分岐点を超えるには、これら主力部位を中心に成人男性で5〜6皿以上、女性でも良質な肉を中心に4皿以上を完食すれば、単品注文時の総支払額をあっさり逆転できる計算になる。
逆に、店舗側が原価率抑制の防波堤としているのが、ライス、ビビンバ、冷麺といった炭水化物系や、フライドポテト、コーンバターなどの揚げ物・サイドメニューだ。これらは満腹中枢を刺激しやすい糖質や脂質が多く、序盤に過剰摂取すると高単価な肉の摂取可能量を急激に削ぎ落としてしまう。
元を取るための鉄則はシンプルだ。前半戦はタレ漬けではない高単価な熟成肉や塩タンをメインに攻め、焼き網のスペースを無駄にしないハイペースなローテーションを維持すること。炭水化物やスープは中盤以降の味変として少量に留めることが、満足度と経済性の両立を果たす黄金ルートとなる。