動画共有プラットフォームやSNSでは「1日3分で一重が二重になるマッサージ」といったコンテンツが数百万回再生されるなど、セルフケアへの関心は依然として高い状態が続いています。しかし、形成外科専門医や皮膚科医の視点からは、これらの過度なセルフケアに対して強い警鐘が鳴らされています。
前述の通り、二重の形成には「挙筋腱膜と皮膚の解剖学的な結合」が必須です。皮膚を強く擦ったり器具で押し込んだりしても、深層の筋肉と皮膚が新しく癒着することはありません。一時的に線がついたように見える現象は、皮膚の摩擦による炎症性の浮腫や、一時的な皮膚のシワに過ぎないのが実態です。
むしろ、長期間にわたるアイテープの乱用やまぶたへの強い摩擦は、皮膚の菲薄化(薄くなること)、色素沈着、さらには皮膚が伸びてたるんでしまう「眼瞼皮膚弛緩症」や、まぶたを持ち上げる筋肉が緩んでしまう「眼瞼下垂」を誘発するリスクを孕んでいます。
構造的な変化を安全かつ永続的に求める場合、医療機関でのアプローチが選択肢となります。その代表格である埋没法と切開法の違いは、糸で留める可逆的な処置か、組織を切除して半永久的な癒着を作る不可逆的な処置かという点に集約されます。
- 埋没法:まぶたの裏側から医療用の極細糸を通し、挙筋腱膜または瞼板と皮膚を結びつける術式。ダウンタイムが短く傷跡が目立たない反面、脂肪が厚い場合は糸が外れる可能性がある。
- 切開法:皮膚を切開し、余分な眼窩脂肪やROOFを切除した上で強固な二重ラインを形成する術式。半永久的な効果が得られるが、元に戻すことが困難でダウンタイムが長くなる。