当時、誹謗中傷の主戦場となったのは匿名掲示板2ちゃんねるだった。顔も名前も隠した投稿者たちが過激な言葉を投げつけ、デマを「確定した事実」として仕立て上げていく。個人の尊厳を根底から踏みにじる投稿の山に対し、当時の法制度や警察の対応は追いついておらず、被害者の苦悩は長きにわたって放置される格好となった。
しかし、沈黙を守るだけでは事態は解決しない。粘り強い証拠集めと警察への働きかけが実を結び、ついに警視庁が本腰を入れて捜査を開始する。中傷の書き込みを行った男女19人が一斉に書類送検されるという、日本のネット史上でも類を見ない大規模な摘発が行われた。匿名の陰に隠れた投稿者が特定され、刑事上の責任を追及される前例が打ち立てられた瞬間だった。