霧島ホテルを語るうえで最大のハイライトとなるのが、名物「硫黄谷庭園大浴場」です。扉を開けた瞬間に広がる光景は、一般的な旅館の大浴場というイメージを完全に覆します。体育館を思わせる吹き抜けの大空間に、轟音を立てて注がれる源泉の滝。奥行き約25メートル、深さ最大1.4メートルの巨大主浴槽を中心としたその空間は、まさに地下の温泉テーマパークと呼ぶにふさわしい威容を誇ります。
この大浴場が旅通を唸らせる最大の理由は、空間の広さだけではありません。霧島温泉郷源泉かけ流しの恩恵を極限まで享受できる「泉質の多様性」にあります。通常、一つの宿泊施設で引ける源泉は1〜2種類が標準的ですが、霧島ホテルでは敷地内に湧く以下の4つの異なる泉質を同時に堪能できます。
1つ目は乳白色に濁る酸性・含硫黄-単純温泉(硫黄泉)。2つ目は肌を引き締める美肌の湯として名高い酸性・硫酸塩泉(明礬泉)。3つ目は保温効果が高く湯冷めしにくいナトリウム-塩化物泉(塩化物泉)。そして4つ目は独特の赤褐色と香りを放つ単純鉄温泉(鉄泉)です。これら個性の異なる源泉が広大な浴室内に点在し、入浴客は歩みを進めるだけで贅沢な「湯巡り」を1箇所で完結できます。
この豊穣な湯の背景には、江戸末期の安政7年(1860年)に遡る硫黄谷温泉歴史があります。かつて寺田屋事件で傷を負った坂本龍馬が、妻のお龍とともに傷を癒やしに訪れた坂本龍馬新婚旅行の地としての歴史的重み。160年以上の歳月を経た現在も、地球の息吹をそのまま注ぎ込む湯量は衰えを知りません。