出版統計データを紐解くと、興味深い構造変化が浮かび上がる。都市部の超大型書店や駅前の標準的な中型店舗が姿を消す一方で、個人の選書眼を前面に出した「一箱本屋」や、数坪規模のマイクロ書店の登録数は過去3年で急増した。
かつては「効率的な大量流通の場」であった本屋が、今や「独自の文脈を提供するキュレーションメディア」へとシフトしている。こうした個人書店主たちが一堂に会するイベントは、従来の書籍流通ルートに乗らない自費出版物や、絶版となった古書の価値を再掘り起こす巨大な磁場となっている。取次主導の委託販売制度に依存しない、自律的な出版経済圏が草の根レベルで構築されている証左と言えるだろう。