世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」が登録から20年以上の歳月を経て、いま新たな評価の波を迎えている。2026年の旅行トレンドにおいて際立つのは、「リジェネラティブ・トラベル(再生型観光)」という考え方だ。
ただ観光地を巡って消費するのではなく、その土地の歴史や自然環境に深く没入し、心身を再起動させる。熊野古道を歩き、その終着点近くに佇むこの聖地を訪れる国内外の旅行者が急増している背景には、そんな価値観の大転換がある。
「デジタルデトックス」という言葉すら生ぬるい。スマートフォンの画面から目を離し、目の前の巨岩を見上げた瞬間に訪れる沈黙。それこそが、現代の旅行者が喉から手が出るほど求めていた体験なのだ。