藤岡歴史館の展示において、絶対に外せない主役が白石稲荷山古墳の出土品です。5世紀前半に築造されたとされるこの前方後円墳からは、卓越した技術を示す大量の銅鏡、装身具、鉄製武器類、そして多様な造形美を誇る埴輪が出土しました。これらは東国におけるヤマト王権との緊密な政治的・軍事的結びつきを雄弁に物語っており、一括して国の重要文化財に指定されています。
館内に足を踏み入れると、まず目を奪われるのが実物大で迫る埴輪の数々です。武人埴輪や巫女埴輪、円筒埴輪に至るまで、藤岡市内の埴輪窯跡(本郷埴輪窯跡など)で生産された名品の数々が整然と並びます。藤岡市教育委員会の調査資料によると、この地域は良質な粘土と焼成技術に恵まれ、東日本全域へと埴輪を供給した「巨大な窯業コンビナート」であったことが裏付けられています。
現地で遺物に間近で向き合うと、粘土を紐状に積み上げた痕跡や、当時の工人たちの手作業によるヘラ削りの跡が克明に見て取れます。教科書の写真だけでは伝わらない生々しい息遣いと造形美こそが、来館者の心を掴んで離さない最大の要因です。