名古屋モーニングの代名詞といえば、言わずもがな「小倉トースト」である。しかし、早朝6時の厨房で繰り広げられているのは、決してありきたりの軽食作りではない。カリッと焼き上げられた厚切り食パンの切れ目に、じわっと溶け出す発酵バター。その上に惜しげもなく盛られる自家製小倉餡。
甘さを極限まで抑え、小豆本来の風味を際立たせた餡を提供する店もあれば、塩気を利かせた塩バターでコクを際立たせる店もある。一口頬張れば、サクッとした食感の後に広がる豊かな甘みと塩気のハーモニー。早起きした者だけが味わえるこの一皿には、長年培われてきた伝統と店主たちのプライドが凝縮されている。