「鶏もも肉は太る」という言説が定着している背景には、皮つきのまま調理された濃厚な肉料理のイメージがあります。文部科学省が公表している「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版」の数値を紐解くと、鶏もも肉(若どり・生)100gあたりのエネルギーは190kcal、脂質は14.2gに達します。牛や豚の赤身肉と比較しても決して極端に低カロリーとは言えず、これがダイエッターに敬遠されてきた主因です。
しかし、ここで「皮」を取り除いた数値(若どり・もも・皮なし 生)を確認すると、驚くべき変貌を遂げます。100gあたりのエネルギーは116kcalへと急降下し、脂質はわずか5.0gまで激減します。皮を剥ぐという極めて単純な工程ひとつで、カロリーは約39%カットされ、脂質は約65%も削ぎ落とされる計算になります。
市販の一般的な鶏もも肉1枚(可食部約250g)で試算すると、この差はさらに明白です。皮つき1枚のカロリーが約475kcal(脂質約35.5g)であるのに対し、約40g〜50gある皮を取り除いた正味の肉(約205g)のカロリーは約238kcal(脂質約10.3g)まで半減します。ご飯軽く1杯分(約150g=約234kcal)に相当する熱量が、皮を剥がすだけで丸ごと消失する計算です。「もも肉=高カロリー」という認識は、正確には「もも肉の皮=高カロリー」であったことがデータからも証明されています。