抜髄後の食事や術後経過を巡っては、インターネット上にいくつかの危険な誤解が流通しています。
誤解1:「神経を抜いたのだから、もうその歯は痛まない」
「神経(歯髄)を取ったのに噛むと痛い」と驚く患者は後を絶ちません。歯の内部の神経は除去されても、歯の根の周囲を支える「歯根膜(しこんまく)」というクッション組織の神経は健在です。針のような器具で根尖部を清掃した刺激により、歯根膜に急性炎症(歯根膜炎)が起きているため、上下の歯が触れ合うだけでも響くような痛みが生じます。この痛みは通常2〜3日、長くても1週間程度で沈静化します。
誤解2:「痛み止めを飲んでいれば普通に何を食べてもよい」
鎮痛薬(ロキソプロフェンやアセトアミノフェンなど)を服用して痛みをマスキングした状態で硬いものを噛むと、過度な咬合力がかかり、気付かないうちに歯根が割れる危険があります。薬が効いていても、食事内容は柔らかいものを徹底してください。
誤解3:「仮蓋が取れても次回の予約まで放置して問題ない」
仮蓋が取れたまま食事を続けると、根管内に食べかすやプラークが押し込まれ、嫌気性細菌が爆発的に増殖します。これにより骨の中に膿が溜まる根尖性歯周炎を誘発し、最悪の場合は抜歯に至るため、脱落時は即座に歯科医院へ連絡し再封鎖してもらう必要があります。