手作り加湿器の基本原理は、水が自然に空気中へと蒸発していく「自然気化式」にある。電動の超音波式や加熱式のように強制的に水分を微粒子化・蒸気化して放出するわけではないため、その加湿性能には物理的な限界と明確な特徴が存在する。
一般的なコップに水を張っただけの場合、水面と空気の接触面積が極めて小さく、24時間で蒸発する水分量はわずか10〜20ml程度にとどまる。これに対して、コーヒーフィルターや不織布フェルトを浸して毛細管現象で水を吸い上げさせた場合、表面積が数十倍に拡大し、1日で約100〜250mlの水分が気化する。これは市販されている小型の自然気化式卓上加湿器に匹敵する蒸散量だ。
実験環境における湿度変化のデータを見ると、8畳から10畳といった居住空間全体の湿度を30%から適正値である50%まで押し上げる能力は手作り加湿器にはない。部屋全体を潤すには1時間あたり300〜500mlの加湿能力が求められるためだ。しかし、オフィスデスクの上やベッドサイドなど、「吹き出し口から半径50cm前後のパーソナルエリア」に限定して計測した場合、設置後30分から1時間ほどで局所的な相対湿度が5〜12%上昇することが確認されている。
喉のイガイガ感やドライアイ、肌の突っ張り感を緩和させるスポット対策として、手作り加湿器は極めて合理的で実用的な選択肢といえる。