ネット上のコスメレビューやSNSでは、「高級メイクブラシ=天然毛(イタチ、リス、山羊)こそが最高峰」という言説が今なお散見されます。しかし、現代のアイライナー環境においてこの言説を鵜呑みにすることは、かえって失敗や道具の寿命を縮める致命的な誤解を招きます。
天然毛は表面に微細なキューティクルが存在するため、粉末粒子を柔らかく含み、パウダーを均一にぼかす作業には無類の強さを誇ります。しかし、耐水性ポリマーや揮発性シリコンを多量に含むリキッド・ジェルライナーを天然毛で使用すると、毛組織の内部に油分が蓄積し、わずか数回の使用で毛先が固着・割れを起こします。また、頻繁なクレンジング洗浄に耐えられず、毛切れを起こして急速に寿命を迎えてしまいます。
一方で、最新の高品質合成毛(PBTやPTT)は、表面に特殊な微細凹凸加工が施されており、天然毛に近い液含みを実現しつつ、優れた耐油性・耐薬品性を備えています。ジェルやウォータープルーフのリキッドを常用する場合、あえて人工毛(シンセティック)を選択するほうが、毛先のエッジを長期にわたって鋭利に維持できるのです。
道具を長く愛用するためには、アイライナーブラシ洗い方の知識も欠かせません。ジェルやリキッドを使用したブラシは、放置すると顔料が固化して毛先を破損させるため、使用直後に乾いたティッシュで優しく拭き取るのが鉄則です。週に1度程度の本格的なメイクブラシお手入れ方法としては、中性洗剤や専用クリーナーをぬるま湯に溶かし、手のひらで撫でるように洗います。この際、最も注意すべきは「毛の根元(金属の口金部分)まで水に浸けすぎないこと」です。接着剤が溶解して毛抜けの原因となるため、毛先だけを振り洗いし、平干しで陰干しするのがプロの常識です。