幼少期の桑名正博が過ごした大阪市港区の実家は、近隣住民の間で「お城のようだ」と語り継がれていた。広大な敷地内には母屋だけでなく、親族や手伝いの人々が暮らす棟、巨大な倉庫、そして広い庭園が広がっていた。
圧巻だったのはガレージだ。父親の趣味も手伝って、ガレージにはベンツやロールスロイスといった海外の超高級車が常に何台も並んでいたという。小学生の桑名が学校から帰ると、庭で外車の洗車が行われているのが日常風景だった。昭和の時代において、自家用車を所有すること自体がステータスだった頃に、このスケール感である。桁が違っていた。