かつて「うだつが上がらない」の語源となった構造物は、自己の財力と火災に対する備えをアピールするための意匠だった。それが現代において、地域のアイデンティティそのものとして再評価されている。
岐阜県美濃市や徳島県美馬市脇町といった代表的な歴史街区では、単なる景観保護の枠組みを超えた動きが加速。建物の外観を厳格に維持しつつ、内部を最高級の宿泊施設やプライベートダイニングへ改装するプロジェクトが一段と結実を見せている。一泊数十万円の客室が数ヶ月先まで埋まる現象は、かつての豪商たちが培った美意識が、世界基準のプレミアムラグジュアリーとして昇華した証だ。