「トマトジュースは体によいから、喉が渇いた時にいつでも飲む」というのは、栄養学の観点からは非常にもったいない選択です。脂溶性成分であるリコピンの吸収率は、生体リズム(体内時計)と食事の組み合わせによって劇的な落差が生じます。
カゴメが実施したヒト試験データが明快な答えを提示しています。朝・昼・夜の3つの時間帯で同量のトマトジュースを摂取させ、血中プレリコピン濃度および総リコピン濃度の推移を追跡したところ、「朝(朝食時)」に摂取したグループが、昼や夜と比較して最も高い血中濃度の上昇率をマークしました。朝は胆汁酸の分泌が活発になり、脂溶性カロテノイドのミセル化(腸管から吸収されやすい状態に変化すること)が効率よく進むためです。
さらに見逃せないのが「脂質との同時摂取」です。油分を一切含まない空腹状態の胃に流し込んでも、リコピンの大部分は体外へそのまま排泄されてしまいます。吸収効率を一変させる裏ワザがあります。
コップ1杯(約200ml)の無塩トマトジュースに、数滴のエキストラバージンオリーブオイルを垂らし、電子レンジで軽く温める手法です。リコピンは熱を加えることで、吸収されにくい「トランス型」から体内利用しやすい「シス型」へと構造変化を起こします。良質な油分と乳化させることで、リコピンの吸収率は通常の3倍から4倍近くまで跳ね上がる計算になります。朝食のトーストに合わせる、あるいはオリーブオイルを混ぜて温かいトマトポタージュ風にして飲む。この一手間が成分の生体利用能を極限まで引き出します。