楽曲の冒頭からリスナーを掴むのが、具体的な楽器や機材の名を散りばめた鮮烈な歌詞フレーズの描写です。
冒頭に登場する「リッケンバッカー620」は、アメリカの老舗ギターメーカー・リッケンバッカー社製のエレクトリックギター。ソリッドボディに独特の硬質なカッティングトーンを持つ名機です。「19万8千円」というリアルな値札の提示は、プロデビュー前の若者が楽器店のショーウィンドウ越しに抱く切実な渇望を生々しく表現しています。
続く「マーシャルの匂い」というフレーズは、ロックバンドの定番アンプであるMarshall(マーシャル)を指します。通電して熱を持った真空管アンプから漂う特有のオイルやホコリの焼けた匂いは、ライブハウスやスタジオに足繁く通い詰めたミュージシャンだけが知る空気感そのもの。五感を直接刺激するこの表現によって、主人公がどっぷりと浸かっているバンドマンとしての日常が立ち現れます。