鏡優翔選手の快進撃を語る上で欠かせないのが、温かくも芯の通った父親・寛(ひろし)さんをはじめとする家族の存在です。元レスリング選手であり審判員も務めていた父の指導のもと、兄の背中を追うようにして幼少期からマットに上がった彼女ですが、家庭内は決して理不尽なスパルタ教育ではありませんでした。
公のインタビューや手記で明かされているのは、「レスリングを心から楽しむこと」「礼儀と感謝を忘れないこと」を最優先にした教育方針です。中学進学時にエリートアカデミーへ入校するため親元を離れる際も、父親は寂しさを押し殺し、彼女の自立心と覚悟を全面的に信じて送り出しました。
試合会場で常に大声援を送り続ける父親と、勝利の瞬間に真っ先に客席の家族へ感謝の涙と笑顔を届けた姿は、多くの視聴者の胸を打ちました。過度な依存や重圧のない、健全な「心理的バウンダリー(境界線)」を保ちながら支え合った家族の絆こそが、彼女の底知れぬ自己肯定感の源泉となっています。