2011年3月11日の東日本大震災において、白河小峰城は震度6強の激震に見舞われました。本丸を中心に石垣約10箇所、延長約150メートルにわたって石材が崩落し、全体の約7,000個もの石が崩れ落ちるという壊滅的な打撃を受けました。
しかし、白河市と文化財専門家チームが選択したのは、単なる安全補強ではなく「崩落前の石を元の位置に寸分違わず戻す」という気の遠くなるような真正復元でした。震災前の精密な測量図面や膨大な写真データ、最新の3次元CGスキャン技術を駆使して「石材カルテ」を作成。崩れた石材を1個ずつナンバリングし、伝統的な野面積み・打込接ぎの技法を受け継ぐ石工たちが8年もの歳月をかけて積み直しました。
2019年(平成31年)に全工程が完了した石垣は、現代の土木工学と伝統技術が融合した「文化財修復の最高傑作」として国内外の専門家から極めて高い評価を得ています。本丸東面の石垣に立つと、修復の継ぎ目を感じさせない端正な勾配(武者返し)の美しさに圧倒されます。