医療機関にかかる場合、看板に「精神科」「心療内科」と掲げられていればどこでも良いわけではありません。解離性障害は極めて専門性の高い領域であるため、病院選びには明確な戦略が求められます。
受診先を探す際は、精神科病院や大学病院の中でもトラウマ外来、PTSD専門外来、または解離性障害の臨床経験が豊富な医師が在籍しているクリニックを選択してください。初診の予約時には「記憶が飛ぶ症状があり、解離性障害の鑑別をしてほしい」と具体的に伝えることが重要です。受診時には、記憶の空白が起きた日時、前後の状況、周囲から指摘された言動をメモ(解離ログ)にして持参すると、医師の診断が格段にスムーズになります。
現在の治療アプローチにおいて、過去の映画のように「無理やりすべての人格を一つに合体させる(統合)」ことだけがゴールとはされていません。現在の治療方針は、以下の3段階からなる協調と共生のモデルが主流です。
- 第1段階(安全の確保と安定化):パニック発作や不眠などの二次症状を抑え、生活基盤の安全を確保する。交代人格の存在を敵視せず、自分を守るために生まれた仲間として認める。
- 第2段階(トラウマ処理):過去のトラウマ記憶に少しずつ向き合い、認知行動療法やEMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)などを通じて過去の出来事として脳に再保存する。
- 第3段階(人格の統合または協力関係の確立):人格同士の内的なコミュニケーションを促進し、記憶を共有できるようにする。最終的に一つに統合されるケースもあれば、一つの身体を共同で上手に運営する「協調的共存」を選び、社会復帰を果たすケースも多く存在します。