1991年から1992年にかけて、日本列島は空前の「きんさんぎんさんブーム」に沸いた。元治元年(1864年)生まれという、幕末の動乱期を知るふたりの存在感は圧倒的だった。その人気を爆発的に高めたのが、株式会社ダスキンのテレビコマーシャルだ。ダスキンテレビCM「きんさんは100歳」で発せられた「きんさんは100歳、ぎんさんも100歳」というフレーズは、全国のお茶の間に一瞬で浸透し、その年の新語・流行語大賞をあっという間にさらっていった。
当時のテレビ・広告業界において、100歳を超える高齢者がメインキャストとしてCMの主役に抜擢されるケースは極めて異例だった。しかし、ふたりのチャーミングな掛け合いと力強い佇まいは、暗いニュースが多かった時代に明るい光を灯した。メディアが次々と密着を重ね、二人の日常は日本の人物伝として人々の心に深く刻み込まれていったのだ。