中央通りの景観は、ここ四半世紀で完全に塗り替えられた。無骨な電子パーツや無線機が並んでいたかつての秋葉原電気街は、いまや世界中からポップカルチャーの信奉者が集う巡礼地だ。その転換点となったのは、2000年代中盤の『電車男』ブームに端を発するオタクカルチャーの爆発的な可視化である。アキバ特有のサブカルチャーはアングラから一気にマスへと躍り出た。
決定打となったのは、世界規模のプラットフォームの普及だ。YouTubeで拡散される体験動画やNetflixのドキュメンタリーを通じて、メイド体験は外国人旅行者にとって「日本で体験すべき必須アクティビティ」として定着した。インバウンド観光業の強力な起爆剤として機能する一方で、街の空気感はドメスティックなマニアの社交場から、ボーダーレスな観光アトラクションへと根本的な変容を遂げている。