なぜ商業アニメの放送電波に、未完成とも言える作画がそのまま乗ってしまったのでしょうか。その真相を紐解くと、当時の制作スタジオが抱えていたアニメ制作現場のスケジュール崩壊が浮かび上がってきます。
2000年代半ばは深夜アニメの本数が急増した時期であり、多くの制作会社が慢性的な人手不足とタイトな納期に追われていました。本作の第3話においても作画スケジュールが極限まで圧迫されており、動画や彩色の工程を海外の協力スタジオへと緊急発注(グロス請け・外注)せざるを得ない状況に陥っていました。
そこで致命的な伝達エラーが生じます。原画マンが描いたラフ段階の「丸いアタリ(キャベツの輪郭線)」に対し、適切なレイアウト指示や設定資料が海外スタッフへ十分に共有されませんでした。現場の作画監督による修正・チェック作業(作監チェック)を挟む時間すら残されていなかったため、指示を受けた現場は「緑色の丸い物体」としてそのまま清書・彩色し、納品に至ったとされています。まさに過密日程とコミュニケーション不足が生んだ構造的な放送事故でした。