激しいバリケードの戦闘が鎮圧された後、物語は静かで感動的なフィナーレへと向かいます。
バルジャンは瀕死のマリウスを背負って悪臭立ち込める下水道を何キロも歩き続け、奇跡的に彼の命を救い出します。意識を取り戻したマリウスはコゼットと再会を果たし、2人は晴れて結婚の運びとなります。
しかし、バルジャンは自らの暗い過去が愛するコゼットの未来に影を落とすことを恐れ、自分が前科者であることをマリウスだけに打ち明けて、静かに2人の前から姿を消します。孤独の中で老衰し、死の床につくバルジャン。そこへ、バルジャンこそが命の恩人であった事実を知ったマリウスとコゼットが駆けつけます。
最愛の娘と娘婿に看取られながら、バルジャンは静かに息を引き取ります。その魂を迎えるのは、天国から微笑みかけるファンテーヌとエポニーヌの霊でした。「他者を愛することは、神の顔を見ることだ」というユゴーの思想が結実するこのラストシーンは、あらゆる苦難を乗り越えた魂の救済を見事に描ききっています。