誕生祭の極限状態において、琉花は海から隕石を渡され、自らの体内に飲み込みます。そして海もまた光の粒子となって消滅し、琉花は一人、元の海辺へと戻されます。
このラストシーンにおける琉花の役割は、宇宙の受精を見届け、その記憶を未来へ持ち帰る「卵子(母胎)」であり「観測者」でした。人間である琉花が儀式の中心に介在したことで、宇宙の運行と人類の存在がひとつの環として結ばれました。
エピローグで描かれるのは、日常に戻った琉花の姿です。母のお腹には新しい命が宿り、琉花は自らのへその緒を見つめ、包丁で切ったトマトの断面(宇宙や細胞のメタファー)に触れます。特別な儀式は終わっても、生命の誕生と循環は日々のささやかな営みの中に確かに息づいている――これこそが、絶望的な別れを経て琉花が獲得した生の肯定です。