松原のぶえがかつて伴侶として選んだ男性は、彼女のマネジメントを担っていた元マネージャーであり、個人事務所の社長を務めていた人物だった。二人三脚で歩むべきビジネスパートナーであり最愛の夫。しかしその信頼は、金銭トラブルという最悪の形で裏切られることになる。
夫が主導した事業の失敗や放漫経営により、膨れ上がった負債総額は数億円規模に達した。コンサート会場や宿泊先にまで債権者の影がちらつき、連日連夜の取り立てが彼女の精神を激しく摩耗させていく。自身が知らぬ間に連帯保証人に仕立て上げられていたという事実は、あまりにも過酷な現実だった。
「歌うことだけが生きがいだったのに、稼いだお金がすべて借金返済へと消えていく」。当時の関係者は、彼女が楽屋でひとり涙を流していた姿を証言している。終わりの見えない返済地獄と夫への不信感。泥沼の協議の末、2000年代初頭に下した離婚の決断は、彼女が自らの命と歌を守るための最後の防衛策だった。