長期にわたる妾関係の延長線上で、避けて通れないのが「子どもの誕生」を巡る問題です。歴史上、妾の子は正妻の子(嫡出子)よりも一段低い身分に置かれてきましたが、現代の法制度においては劇的な転換が起きています。
かつての民法900条4号ただし書は「嫡出でない子の法定相続分は、嫡出子の2分の1」と定めていました。しかし、平成25年(2013年)の最高裁判所大法廷決定によって違憲判断が下され、法改正により嫡出子と非嫡出子の法定相続分は完全に同等となりました。つまり、法的な手続きさえ整っていれば、妾の子であっても本妻の子と寸分違わぬ権利を行使できます。
ただし、そこには決定的な前提条件が存在します。それが父親による「認知」です。
生前に父親が認知届を提出するか、公正証書遺言によって認知を指定していなければ、子どもと父親の間に法律上の親子関係は成立しません。父親が死亡した後に認知を求める「死後認知の訴え」を起こすことも可能ですが、死後3年以内という厳しい出訴期限があり、DNA鑑定の試料確保を巡って本妻側親族と熾烈な法廷闘争へ突入することは避けられません。認知が得られないまま男性が急死した場合、どれほど生前に可愛がられていたとしても、数億円にのぼる遺産から1円たりとも相続する権利は生じないのです。