大学受験のシーズンを迎えるたびに、SNSやネット掲示板、大手受験フォーラムなどで浮上するのが「東大後期日程が復活するのではないか」という噂です。「推薦枠が埋まらないのではないか」「一般入試の枠を広げてほしい」という浪人生や進学校関係者の願望が交錯し、まことしやかに語られることがありますが、結論から言えば後期日程が復活する可能性は極めて低いのが実情です。
東大が発表している長期的な教育改革方針や高大接続のビジョンにおいて、一発勝負のペーパーテストへ回帰する動機はどこにも存在しません。むしろ東大が推進しているのは、国際化の加速、女子学生比率の引き上げ、そして多様なバックグラウンドを持つ学生の集約です。従来のペーパー試験を増やしても、中高一貫校を中心とする男子合格者が大半を占めるという均質性の問題を助長するだけに過ぎません。
さらに、難関国立大学全体の動向を見渡しても、「後期の廃止・縮小」は決定的なトレンドとなっています。旧帝大クラスの後期日程の現況を整理すると、以下の通りです。
- 京都大学:法学部を除いて後期日程を廃止。特色入試(総合型・学校推薦型)へと舵を切る。
- 東京科学大学(旧東京工業大学など):後期日程を段階的に全廃し、総合型選抜や女子枠の拡充を推進。
- 大阪大学・東北大学・名古屋大学・九州大学:一部学部で後期日程を維持するものの、募集人員を削減し総合型・推薦型への定員シフトを継続。
- 一橋大学:後期日程(経済学部)を維持し、依然として極めて高い難易度を保っているが枠は限定的。
各大学とも、文部科学省が主導する高大接続改革の流れに沿い、一般選抜の割合を絞りつつ、探究活動や卓越した個性を評価する選抜へと定員を振り替えています。東大がこの流れに逆行して後期日程を復活させる理由は見当たりません。