ベラミーで見せた骨太なドラマ性とは対照的に、徹底的な「怪演」でファンの度肝を抜いたのが、魚人島編のバンダー・デッケン九世です。
デッケンは、しらほし姫を手に入れるためなら魚人島そのものを巨大船ノアで押し潰そうとする、歪んだ自己愛と狂気に満ちた凶悪犯です。高木渉さんは、特有のねちっこい言い回しや不気味な笑い声、予測不能なテンポ感を駆使し、生理的な嫌悪感とコミカルな滑稽さが同居する唯一無二のヴィランを作り上げました。ベラミーと同一人物が演じているとは到底思えない声質の変化に、エンドロールを見るまで気付かなかった視聴者も続出しました。
また、映画『STRONG WORLD』連動アニメに登場したラルゴでは、陽気でラテン系のリズムを刻む奔放な海賊船長を軽快に熱演。あらゆる素材で網を作り出す「アミアミの実」のトリッキーな戦闘スタイルに合わせ、ミュージカルのような抑揚を取り入れたアドリブ感あふれる芝居を披露しました。異なるベクトルの悪役を自由自在に行き来する変幻自在の職人技が、ここに凝縮されています。