『ロマンスの神様』がこれほど打算的な内容であるにもかかわらず、長年「冬の定番ラブソング」として純粋に受け入れられてきた背景には、スポーツ用品店「アルペン」のテレビCMソングとしての絶大なタイアップ効果があります。
1993年のリリース当時、スキーブームの絶頂期にあった日本において、スキー板やウェアのCMとともに広瀬香美の圧倒的なハイトーンボイスが毎日のように全国のお茶の間に流れました。CM映像に映し出されるのは、きらめく雪山とスノーボーダーたちの爽快な滑走風景。この強烈な視覚イメージと突き抜けるメロディが結びつき、リスナーの脳内には「冬のスキー場で出会う運命の恋」というイメージが強固に刷り込まれました。
しかし、実際の歌詞テキストをどれだけ探しても、「雪」「スキー」「ゲレンデ」「冬」「寒さ」といった冬を連想させる単語は1つも登場しません。曲の舞台は雪山ではなく、居酒屋やダイニングバーの合コンの席です。「冬の女王」という広瀬香美の代名詞とCMのビジュアルが、極めて現実的な合コン曲を完璧なウィンターアンセムへと見事に仕立て上げていたのです。