現在の恵比寿で主流となっているのは、職人の美学が凝縮された「おまかせコース」だ。先付から始まり、季節の旬魚を織り交ぜたつまみ、そしてクライマックスへと向かう握りの流れは、一本の見事な舞台劇を鑑賞しているかのような高揚感をもたらす。シャリの温度、酢の配合、煮切りの塩梅に至るまで、すべてのピースが緻密に計算されている。
さらに見逃せないのが、劇的な進化を遂げた「日本酒ペアリング」の存在だ。伝統的な純米酒のお燗から、新進気鋭のマイクロブルワリーが醸す酸の際立った一本まで、タネの脂やシャリの酸味に合わせて緻密に選定される。単に料理と酒を合わせるのではない。口内調味によって双方が高め合い、単体では到達できない未知の旨味を引き出す至福の体験が、ここ恵比寿の夜を彩っている。