店を運営する株式会社三徳六味の根底にあるのは、六味(甘・酸・辛・苦・渋・旨)を自在に操る味覚の探求だ。フロアに立つ唎酒師(サケ・ソムリエ)は、客の好みやその日の気候、注文した料理の順序を瞬時に見極め、最適な一本を導き出す。その淀みのないサーブは、まるでオーケストラの指揮者のようだ。
展開される料理は、日本酒バー・創作和食の領域を軽やかに押し広げるものばかり。発酵調味料をアクセントに使った前菜や、ハーブやスパイスを忍ばせた温菜など、どれも酒を呼ぶ工夫に満ちている。ただ奇をてらうのではなく、伝統的な和食の出汁を土台に据えているため、後味はどこまでも澄み渡り、心地よい余韻を残す。