綾瀬はるかという表現者の凄みは、ジャンルの壁を軽々と跳び越える柔軟性にある。『奥様は、取り扱い注意』で見せたキレのある格闘シーンは、彼女の運動神経と徹底的な役作りの賜物だ。穏やかな主婦の顔と、元スパイとしての冷徹な眼光を瞬時に切り替える演技は、日本のアクション女優としての地位を盤石なものにした。
一方で、善悪の境界線を揺るがした『天国と地獄〜サイコな2人〜』での熱演も記憶に新しい。魂が入れ替わるという難役において、男口調の冷酷なサイコパスと、冤罪に怯える女性刑事を完璧に演じ分けた。立ち振る舞い、視線の泳がせ方、声のトーンひとつで別人へと化ける圧倒的なスキルは、国内外の批評家から絶賛を浴びた。