白鵬の人生において、最も大きな決断のひとつが「日本国籍の取得」だった。モンゴル出身の横綱が引退後に親方として角界に残り弟子を育成するためには、日本国籍の取得が絶対条件となっていたからだ。母国での様々な議論や手続きの難航など、複雑な感情と社会的試練が渦巻く中、紗代子さんは日本側の窓口として事務作業や周囲との調整を完璧にこなした。
2019年に無事日本国籍を取得し、2021年の引退後は「宮城野部屋」の師匠・おかみさんとして新たな一歩を踏み出した。部屋の運営や後進の育成を巡っては、時に角界ならではの伝統と新しい指導法の摩擦に直面することもあったが、どんな時も紗代子さんは動じず、若い弟子たちの母として部屋の精神的支柱であり続けた。