企業取引の現場でも変化の波は著しい。リモートワークと出社が融合したハイブリッドワークが定着した現在、極秘プロジェクトのやり取りや高額な送金指示において、デジタル署名に加えて「口頭での合言葉確認」を義務付ける企業が増加した。CEOや役員のAI偽装動画を使った指示による誤送金トラブルを防ぐための実用的なガイドラインだ。
ある大手IT企業では、毎月更新されるプロジェクト固有の暗号コードを社員間で共有し、緊急時の電話連絡では必ず最初にそのコードを口にする運用を徹底している。ハイテクなセキュリティツールを何重にも導入した挙句、最後に行き着いたのが「人間の会話による相互確認」だったという事実は、セキュリティの本質を物語っている。