四半世紀以上にわたりアニメ界の最前線を走る速水奨のキャリアは、多彩な名キャラクターの歴史そのものである。初期の天才パイロット役から冷徹無比な黒幕、さらには近年の音楽プロジェクトで見せるカリスマ的リーダーまで、その演じ分けの幅は底知れない。低音の響きを活かした重厚な演技はもちろん、繊細な心情の機微をわずかな息遣いで表現する職人技が、数々の当たり役を生み出してきた。
スタジオ関係者の間では、近年のアフレコ現場における速水のアプローチが改めて高く評価されている。マイクとの距離感をミリ単位で調整し、空間オーディオや最新の音響設計に最適化された芝居を瞬時に構築する技術はまさに熟練の極みだ。最新のアニメーション制作現場でも、若手キャスト陣が彼の佇まいと声の圧に圧倒されたというエピソードが絶えない。声優という表現の可能性を押し広げ続けるその姿勢は、キャリアの円熟期を迎えてもなお衰える気配がない。