サカナクションの代表曲人気ランキングにおいて、必ずと言っていいほど『新宝島』や『アイデンティティ』と並び最上位に挙げられる『アルクアラウンド』。本作が時代を超えて支持され続ける最大の理由は、「映像表現の極致」と「綿密に計算された音楽的構造」が完全な調和を果たしている点にあります。
当時、ロックバンドが本格的なダンスビートを取り入れるアプローチは過渡期にありました。サカナクションは、クラブカルチャーの冷徹な電子音と、生ドラム・ベースによる有機的なグルーヴを極めて高い次元で融合。そのハイブリッドな音像を視覚化したMVの圧倒的な完成度が、リスナーの脳裏に強烈な原体験として焼き付いたのです。
YouTubeをはじめとする動画プラットフォームの台頭期において、CG全盛の時代にあえて「アナログな実写ギミック」を提示した逆張りのクリエイティブは、世界規模で拡散され、邦楽ロックの可能性を大きく押し広げました。