なぜここまで六代目山口組の一強状態が再構築されたのか。その背景には、2015年に勃発した神戸山口組の分裂理由の構造的欠陥があります。当時、井上邦雄組長らが掲げた大義名分は「名古屋(弘道会)偏重の人事に対する反発」と「高額な上納金(会費)の是正」でした。発足当初は多くの直系組長が追随し、一時的には勢力を二分するかに見えました。
しかし、神戸山口組内部でも同様の金銭トラブルや主導権争いが即座に露呈しました。その結果、2017年には織田絆誠代表らが離脱して「任侠団体山口組(現・絆會)」を結成。反目し合う反六代目勢力の間で内紛と暗殺事件が連鎖し、自滅の道を辿ることになります。
2026年現在の情勢において、神戸山口組は中核だった山健組が六代目山口組側へ復帰・電撃移籍したことを決定打として、完全に骨抜きとなりました。さらに、残された幹部の引退や離脱が止まらず、組織構成員数は数十人規模にまで落ち込んでいます。一方の絆會も、トップの逮捕や最高幹部の射殺事件を経て組織的戦闘力を完全に喪失しました。司法当局による徹底した取り締まりと六代目側の兵站(経済力)の差が、抗争の勝敗を決定づけたと言えます。