「父親とはほとんど会話がなかった」「家に寄り付かない時期が長かった」――地元旭川で取材を進めると、内田被告の家庭について近隣住民から漏れ聞こえてくるのは、冷え切った家族関係の証言ばかりだ。内田梨瑚の父親は、地域社会と深い関わりを持つことなく、家庭内でも娘の激しい気性や非行に対して有効な手立てを打てていなかったとされる。
幼少期の彼女を知る関係者は、父親が厳しく叱責する場面を見かけた記憶がほとんどないと語る。放任とも無関心とも取れる父親の態度が、結果として彼女の暴力衝動や自己中心的な行動規範を野放しにする土壌を作ってしまったのではないか。歪んだ万能感を抱えたまま成長した彼女は、家庭の外に居場所を求め、やがて弱者を標的にする独自のルールを周囲に強要するようになっていった。