H3ロケットの開発思想はシンプルかつ苛烈だ。「H-IIAの半分のコストで、倍の打ち上げ能力を」。自動車部品の積極採用や製造ラインの自動化によって実現したコストカットの成果が、2026年の現在、実際の打ち上げ実績として試されている。
これまで日本のロケットは「高性能だが高価」というレッテルを貼られがちだった。しかし、量産体制が整ったことで、1機あたりの建造コストは約50億円規模まで圧縮された。種子島の整備棟では、かつてないスピードで機体の組み立てが進む。「作っては揚げる」というサイクルが現実のものとなりつつあるのだ。
打ち上げ頻度の向上は、海外の民間顧客を獲得するための絶対条件だ。数ヶ月に1回というペースから、数週間間隔での連続発射に対応できる地上設備の運用体制が、現地スタッフの血の滲むような努力によって構築されつつある。