長年、私生活と仕事を厳格に分けてきた二人が、結婚24年目にして初めて夫婦役として共演を果たしたのが映画『少年H』だった。激動の昭和初期を舞台に、戦火をたくましく生き抜く洋服仕立屋の夫婦を熱演した姿は、多くの映画ファンの胸を打った。
劇中で見せた阿吽の呼吸は、長年の実生活で培われた信頼関係があればこそのリアリティだった。照れや衒いを一切排し、作品の一部として溶け合う二人の姿。プライベートの絆を安易に切り売りせず、作品の必然性があるときだけ手を取り合う。その抑制されたプロフェッショナリズムが、観る者に深い余韻を残した。