ネット上のQ&Aサイトや民間療法情報には、医学的根拠を欠いた誤解が驚くほど蔓延しています。その最たるものが、「肋間神経痛には湿布を貼っておけば自然に治る」という盲信です。
外用消炎鎮痛剤である肋間神経痛の湿布について、温めるか冷やすかという選択に頭を悩ませる人は少なくありません。しかし、冷感湿布のメントール成分が与える冷涼感は皮膚感覚を刺激して痛みを紛らわせている(カウンターイリテーション効果)に過ぎず、深部の肋間神経の炎症を冷却消炎しているわけではありません。受傷直後の筋肉挫傷や激しい炎症がある急性期を除き、慢性的な凝りや姿勢不良からくる神経痛に対して冷やす処置を続けると、毛細血管が収縮して血流量が低下し、発痛物質が局所に滞留してかえって痛みを慢性化させます。
基本方針として、触れて熱感がない鈍痛や凝り感を伴う痛みには「蒸しタオルや入浴で温める」処置が筋緊張を解く上で推奨されます。ただし、前述の帯状疱疹ウイルスが活性化している初期段階で患部を過度に温めると、炎症が爆発的に悪化する危険があります。何が痛みの引き金であるか特定できていない状態で、熱い風呂に長時間浸かる、あるいは冷却パックでキンキンに冷やすといった極端な温度変化を与える行為は厳に慎むべきです。
また、「痛む場所を指圧マッサージで強く押し潰す」という行為も極めて危険です。肋骨は人体の中でも特に薄く、無理な外力が加わると簡単に微小骨折(ひび)を起こします。特に閉経後の女性や高齢者は、骨粗鬆症に伴う咳やくしゃみでの肋骨骨折が肋間神経痛の真因であるケースが多く、強い指圧が骨折を決定づけてしまう医療事故が毎年報告されています。