かつて中心市街地の空洞化が叫ばれていた南海和歌山市駅周辺の風景は、和歌山市民図書館の誕生によって一変しました。同館がこれほどまでの支持を集める最大の要因は、公共インフラとしての機能と民間商業施設の快適性を極限までシームレスにつなぎ合わせた設計思想にあります。
エントランスを兼ねた1階フロアには「スターバックス コーヒー」と「蔦屋書店」が展開され、館内で購入したビバレッジを片手に図書館の蔵書を閲覧できるシステムを導入。従来の公立図書館で厳格に禁じられていた「飲食をしながらの読書」を公式に認めたことで、日常の延長線上で本と触れ合えるハードルの低さを確立しました。
さらに利用者のライフスタイルを激変させたのが、9:00〜21:00・年中無休という圧倒的な営業時間です。一般的な公立図書館が夕方17時〜19時に閉館し、月曜休館や館内整理日を設けるなか、仕事帰りのビジネスパーソンや夜遅くまで学習したい学生の受け皿として機能しています。天候に左右されず改札口からダイレクトにアクセスできる利便性も加わり、単なる「図書の貸出拠点」を超えた都市のサードプレイスとして強固なポジションを築き上げました。