SNSやネット掲示板、Q&Aサイトを観察すると、「ランプが点滅して室外機がピクリとも動かない。完全にコンプレッサーが壊れた」と断定し、絶望しているユーザーの声を日常的に見かけます。しかし、現場のサービスエンジニアが直面する現実には大きな乖離があります。
東芝エアコンには、急激なコンプレッサー負荷による破損を防ぐため、電源投入後や運転モード変更後「約3分間は室外機をあえて始動させないディレイタイマー(圧縮機保護回路)」が組み込まれています。ユーザーが「風が生ぬるい」と焦ってリモコンを何度もオン・オフしたり、冷房と暖房を切り替えたりすると、この保護タイマーが連続して作動し、室外機が停止したままランプの点滅待機が続いてしまうのです。
また、室外機の周囲環境が引き起こす「疑似故障」も無視できません。真夏の猛暑日に室外機の周囲を段ボールや植木鉢で塞いでいたり、室外機天板に直射日光が当たり続けて内部温度が60度近くまで過熱すると、室外機マイコンがオーバーヒートを検知してファンとコンプレッサーを強制遮断します。このとき室内機側は「室外機通信遮断」と判定してランプを点滅させます。室外機周辺の整理整頓と日除けシェードの設置だけで、点滅が止まり劇的に冷えが戻るケースは現場で珍しくありません。
なお、賃貸アパートやマンションにお住まいの方は、絶対に独断で修理業者を手配してはいけません。民法および標準賃貸借契約の規定上、エアコンなどの付帯設備の修繕義務は原則として貸主(大家・管理会社)にあります。借主が勝手に業者を呼んで基板交換やガス補充を行うと、その費用を管理会社へ後から請求できず全額自己負担となる深刻なトラブルに発展します。必ず「東芝エアコンが点滅し、エラーコード〇〇が出ている」と管理会社にまず連絡を入れることが鉄則です。