「少しくらい煙が出ていても、普段通り走れているから大丈夫だろう」と問題を先送りしてしまうドライバーは後を絶ちません。しかし、整備工場の現場取材やユーザーの体験談を精査すると、初期症状を見過ごした結果、取り返しのつかない大惨事へ発展した実例が多数報告されています。
白煙を放置して走行する最大の恐怖は、エンジンブローの前兆サインを見落とすことです。オイルが燃焼室で燃え続ければ、オイルレベルゲージに油分が付着しないほど油量が激減し、シリンダーとピストンが金属摩擦で摩擦熱を帯び、最終的に完全焼き付きを起こします。高速道路の追越車線などでこれが起きると、走行中に突然駆動力を失い、後続車を巻き込む大事故に直結します。
さらに見落とされがちなのが、マフラーの手前に位置する「触媒コンバーター(三元触媒)」への致命的ダメージです。本来は排気ガスのみを無害化する貴金属フィルターに、燃え残ったオイルカスや不凍液成分が流れ込むと、内部で異常燃焼が起き、1,000℃を超える高熱で触媒のハニカム構造がドロドロに溶損します。こうなると、エンジン本体の修理代に加えて触媒交換費用として追加で10万〜20万円以上の余計な出費を強いられることになります。
また、法律上の観点からも放置は許されません。車検基準と排気ガスの白煙トラブルには極めて厳格な相関関係があります。道路運送車両の保安基準第31条では「一酸化炭素、炭化水素、鉛化合物その他有害な物質を発散しないものであること」および「著しい煙を発生しないこと」が明記されています。有害な白煙を上げている車両は、テスターによる排ガス測定でCO(一酸化炭素)やHC(炭化水素)の濃度基準値を大幅にオーバーするため、車検ラインで確実に不合格(即座に車検落ち)となります。仮に視認できるレベルの煙を吐いたまま公道を走り続ければ、整備不良車両として警察の取り締まり対象となり、反則金や違反点数が科される法的リスクも伴います。