「換気扇の掃除を怠ると、天井から黒カビがシャワーのように浴室中に散布される」という指摘は、決して大げさな脅しではありません。ハウスクリーニング大手「おそうじ本舗」などの技術レポートでも解説されている通り、浴室換気扇は構造上、浴室内の湿気とともに湯気へ乗った皮脂・石鹸カス、さらには脱衣所から侵入する衣類ホコリを吸い込み続けています。
これらの汚れがファンの羽根やフィルターに蓄積すると、クラドスポリウム(黒カビ)の巨大なコロニーが形成されます。換気扇のスイッチを入れた際、通常であれば排気ダクトへ向かう空気の流れが目詰まりによって乱れ、吹き返しや微振動が発生。その結果、ファン内部で増殖したカビの胞子が天井面から浴室全体へと強制的に散布される逆転現象が引き起こされるのです。入浴中に吸い込む空気中にカビ胞子が高濃度で混入すれば、アレルギー性鼻炎や喘息、過敏性肺炎といった健康被害のリスクを引き上げる要因となります。
さらに見過ごせないのが、機器本体へのダメージです。Lixilストアが公開している設備解説資料によれば、汚れを長期間放置するとモーターへ過度な負荷がかかり、換気効率の大幅低下に伴う電気代の高騰を招きます。換気扇から発せられる異音の多くもこの汚れの堆積が引き金となっており、お風呂換気扇の異音と故障の理由は音の種類によって明確に分類できます。
- 「ブーン」「ゴー」という鈍い重低音:ファンに付着したホコリやカビの偏りによって重心が狂い、回転軸がブレている状態。初期段階の清掃で解消する可能性が高い兆候です。
- 「キュルキュル」「チリチリ」という摩擦音:モーター内部のベアリング(軸受)の潤滑グリスが切れているか、湿気によるサビの発生が疑われます。
- 「ガタガタ」「カラカラ」という激しい振動音:ファンの破損、固定ネジの緩み、あるいはモーターの経年劣化による寿命。そのまま使用を続けると発煙や焼き付きのリスクを伴います。
異音を「古いから仕方がない」と放置することは、機器の寿命を数年単位で縮める自殺行為に他なりません。換気扇の黒カビを放置する危険性は衛生面のみならず、将来的な機器交換コストの跳ね上がりという経済的損失に直結しています。